あなたは性格が全く違う人みたいと言われたことはありますか?気分の浮き沈みは誰にでもありますが、周囲に迷惑をかけたり、あなた自身が信用を損ねてしまう場合、何らかの疾患の可能性があります。考えられる疾患をまとめたので参考にしてください。

こんな言動に思い当たるふしはありませんか?

あなたは、性格が全く違う人みたいと言われたことはありませんか? そして、以下のような言動に思い当たるふしはありませんか?
  • 気分やテンションが高くなる
  • 怒りやすくなる
  • 開放的で自由奔放な気分になる
  • 積極的に行動するようになる
  • 夜眠らなくても平気になる
  • 話を止めずに話し続けてしまう
  • 何も考えず高価な買い物をしてしまう
  • 人の話に耳を傾けない
  • 特に理由がないのに自信が出てくる
  • 知らない人でも話かける
と思えば、一方で以下のような言動をしている・・・。
  • 気分がふさぎがちになる
  • 物事や周囲のことに興味や関心がなくなる
  • 何かをやる気力が起きない
  • 食欲がなくなる
  • 楽しいと感じなくなる
  • 疲れていても眠れない
  • ずっと眠気を感じている
  • イライラして落ち着かないことがある
気分が沈んでなにもやる気が起こらない、そうかと思えば明るく元気に物事に取り組んだり、気分の浮き沈みはほとんどの人が経験があると思います。 ですが、家族や友人、知人の周囲の人たちから、「性格が全然違うね」とか「なんかいつもと違うね」といわれるようになり、周囲の人たちに迷惑をかけたり、あなた自身の信用や信頼を失ってしまうようなことであれば、ただのその時の気分によるものではなく、何らかの疾患、つまり病気かもしれません。  可能性のある疾患を次に紹介します。

疾患について

性格が全く違う人みたいといわれる場合、考えられる疾患として次の4つが挙げられます。
  • 双極性障害
  • 解離性同一性障害
  • 統合失調症
  • パーソナリティ障害
これから、この4つの症状の特徴・原因・治療について解説していきます。

双極性障害について

初めに、双極性障害について紹介します。  双極性障害は、かつては躁うつ病と呼ばれた疾患で、躁状態とうつ状態を交互に繰り返します。

双極性障害の特徴

双極性障害は、以下の2つに分類されます。
  • 双極Ⅰ型障害
  • 双極Ⅱ型障害
双極Ⅰ型障害は、日常生活に影響を及ぼすほどの躁状態をいいます。 躁状態というと、明るく元気でハイテンション、ポジティブなイメージをする方もいるかと思いますが、実はそうでもありません。 夜は寝ることがなく動き続けたり、止まることなく話し続けることで家族や友人など周囲の人たちに迷惑をかけたりすることがあります。 また、やる気があって物事に取り組みますが最後までやり遂げられないことも特徴の1つです。 さらに、大変なことに高価な買い物をして借金をつくってしまうなど、社会的信用や仕事を失うといった場合もあります。 双極Ⅱ型障害は、躁状態ではあるのですが軽い「軽躁状態」になることをいいます。 双極Ⅰ型障害の躁状態とは異なり、日常生活に影響は及ぼさないほどの躁状態です。 自分自身は明るく元気で日常生活を送れていたり、仕事も順調にいっていると感じています。 そのため、自分がおかしいと感じることはほとんどないようです。 一方、周囲の人たちや当人をよく知っている人たちからすると、迷惑をかけるほどではないのですが、おかしいと感じる部分が多くあるようです。 躁状態と軽躁状態も本人に自覚がないことが問題となっています。 そのため、家族や友人など周囲の人たちが迷惑がっていることに本人は気づいていません。 そして、双極Ⅰ型障害と双極Ⅱ型障害のどちらにも共通する症状がうつ症状です。 症状は、ある程度イメージができるかと思います。 具体的には、気分が落ち込んだり、物事に対する興味関心がなくなる症状が挙げられます。 朝早く目覚めたり、食欲がなくなる、体重が増えたり減ったり、自殺願望や自分はダメだと思うことなどの症状が2週間以上続くとうつ状態になっているといえます。 双極障害に悩んでいる人が一番つらいのは、うつ状態と考えられています。

双極性障害の原因

実は、双極性障害の原因は明確には解明されていません。 今、考えられているのは、遺伝、本人の性格、仕事などの社会的・心理的なストレスが加わることによって発症するといわれています。 ですが、ただの「こころの病気」ではないため、他の精神疾患で行われる精神療法だけではなかなか改善に結びつかないのが現状です。

双極性障害の治療

気になる双極性障害の治療は、薬物療法と精神療法(心理療法)があります。 双極性障害は、ただの「こころの病気」とは異なり、カウンセリングだけで改善は期待できません。 薬物療法を中心に精神療法(心理療法)を組み合わせて治療を行っていきます。 双極性障害の薬物療法は、薬によって躁状態とうつ状態を発症させないようにする予防効果と、躁状態とうつ状態の症状自体を弱めることを目的としています。 双極性障害に用いられる薬は、副作用も比較的多いので、医師から指示された飲む量と飲む回数をしっかりと守って服用することが重要です。 双極性障害の薬物療法は、気分安定薬といわれる薬を中心として治療します。 気分安定薬は、躁状態とうつ状態の両方の疾患を抑制し、気分の浮き沈みをコントロールすることや予防に効果的な薬です。 気分安定薬だけでは効果が得られない場合は、統合失調症で使われる非定型抗精神病薬の併用や単独使用も考慮される場合があります。 双極性障害の薬物療法における注意点があります。 通常のうつ病に使用する薬は、双極性障害のうつ状態には効果がほとんどありません。 双極性障害のうつ状態に使う薬は、うつ病で用いられる薬では違うので、この点は注意が必要です。 双極性障害のもう1つの治療法である精神療法(心理療法)について紹介します。 精神療法、心理療法と2つの名称がありますが、どちらも同じ意味と考えてよいです。 双極性障害の治療は精神療法のみで行うことは難しいため、薬物療法と併せて行うと効果的です。 双極性障害に用いられる精神療法は、他の精神疾患で行われるカウンセリングとは異なっています。 疾患についての知識を持ち、疾患を受け入れ、自分自身が双極性障害の症状をコントロールすることを支援する意味合いがあります。 精神療法を行う意義は、双極性障害が再発の兆候を自分で把握して対処できるようになることです。 双極性障害の再発を早く自覚し、自身で対処できることで、治療を早く始めることが可能になります。 ここまでみてきたように、双極性障害はただのこころの病気とは異なるため、医師の治療を一方的に受けるだけではなく自分自身が双極性障害を勉強して把握し、疾患と向き合っていくことが大切です。 双極性障害がどのような病気か、用いられる薬の効果と副作用、再発の兆候などを自分自身で理解することなどを学びます。 また、不規則な生活をやめ、規則正しい生活にしていくことも大切です。 夜型の生活だった方は朝型の生活に変え、散歩やジョギングなどで日光を浴びる習慣をつけましょう。

解離性同一性障害について

次に、解離性同一性障害について解説します。 解離性同一性障害は、以前は多重人格障害と呼ばれていた精神疾患です。 一人の人の中に、何人もの違う性格を持つ人格が現れてしまうという症状です。 この何人もの人格は、性格だけでなく性別や話し方、文字の書き方まで異なっています。

解離性同一性障害の特徴

解離性同一障害の主な症状を紹介します。 解離性同一性障害の症状の1つに健忘、つまりもの忘れの症状があります。 忘れることや覚えていないことは誰にでもありますが、子どもの頃の出来事やパソコンのスキルなど一度自分が習得した技術などの使い方を忘れてしまう場合には注意が必要です。 さらに、自分には身に覚えのない品物や手紙など自分の部屋で見つけたときや、なぜ自分がその場所にいるのか思い出せない場合があります。 自分が言ったことや行動をしたことを覚えておらず、家族や友人、知人から指摘される場合もあります。 次に複数の人格が現れる症状があります。 この症状には憑依型と非憑依型があります。 憑依型の症状は、自分の中に他人の人格が現れていることが、友人や知人、家族にも分かるようになります。 普段の自分とは明確に違う言葉や態度になるため、まさに他の人間に憑りつかれている状態になります。 非憑依型の症状は、周囲からはそれほど気づかれません。 どういうことかというと、自分が話している言葉や行動、態度などを客観的に見ているように感じます。 自分が言った言葉や行動が、自分自身では認識しているので、自分が変わったように感じることもあります。 具体的には、好きな食べ物やファッションの好みなどが一時的に変わることがあります。 非憑依型は、周囲にはそれほど分かりませんが、こうした嗜好の変化は周囲にも分かるようになります。 また、自分の中に現れる複数の人格同士が知り合いである場合や、現れた人格が怒っている場合は、家族や友人、知人を怒ってしまう場合もあります。 従いまして、自分に身に覚えのないことを周囲から指摘されるようになったり、そのせいで自分の信頼や信用を損ねるまでの状態になっときは、一度、しっかりと医療機関を受診してみましょう。

解離性同一性障害の原因

解離性同一性障害の原因は、ある時期に経験したつらい体験を、自分ではないもう1人の自分が引き受けることで別の人格が形成されると考えられています。 子どもの頃の虐待や、親など大切な人との死別、ショックを受けるような体験を繰り返すことで、強いストレスがかかったり、強いトラウマを抱えたりすることが原因といわれています。 例えば、子どもの頃に虐待を受けている場合、その子どもはつらい現実や環境から逃げ出そうとする方法として、自分ではない別の人格を作り上げられてしまいます。 子どもは成長する過程で得られる複数の情報や体験をまとめて1人の人間として成長していきます。 ですが、この成長過程で虐待などのつらい体験やショックを受ける体験を何度も繰り返していると、1人の人間としての成長に影響がでてしまいます。 解離性同一性障害の治療 解離性同一性障害の治療は、精神療法と薬物療法があります。 ただ、薬物療法は今のところ、有効な薬剤はないといわれています。 精神療法の治療の目的は、自分の中にある何人もの人格を1人の人格にまとめていくことです。 ただ、毎回うまくいくとは限らないので、まとめていくのが難しい場合は何人もの人格に正しい役割を与えるようにしていきます。 精神療法は、なかなか厳しく精神的にもつらい治療法になります。 なぜなら、何人もの人格を呼び起こしたり、虐待など過去に体験した衝撃的な経験を思い出すことで精神的に参ってしまう状況に置かれます。 このつらい治療を乗り越え、過去のつらい経験と対峙できるまで何回か入院が必要になる場合もあります。 精神療法の治療内容は、自分で精神を落ち着かせる方法や、過去の虐待やショックな経験への対処法があります。

統合失調症について

統合失調症について解説します。 統合失調症は、自分の話や行動、考え方や気持ちに一貫性がなくなったり、妄想や幻覚、認知機能が劣るなどの症状がみられる疾患です。

統合失調症の特徴

約100人に1人が発病するといわれており、10代の後半から20代の発病が多いといわれています。 一方で、40代の後半になると、発病率は下がる傾向にあります。 症状は、陽性の症状と陰性の症状に分かれます。 陽性の症状は妄想や幻覚、陰性の症状はやる気や意欲がなくなったり、感情を表にだすことが少なくなる症状をいいます。 陽性症状である幻覚は、誰かの声が聞こえる幻聴であったり、妄想は自分が何かの被害にあっていると思いこんだり、実際は関係がないのに自分に関係があると思いこんだりする症状が現れます。 陰性症状は、人付き合いをしなくなるため、自宅での引きこもり状態になることがあります。 統合失調症は、前兆期、急性期、消耗期、回復期の4つの経過をたどります。 最初に訪れる前兆期は、不眠やイライラが起こり、明らかにおかしいとは思わないものの、若干変な感覚を覚えます。 急性期は、妄想や幻覚の症状が起こるようになります。 自分自身は、何かおかしいと思いながらも病気と思っていませんが、友人、知人や家族からみると、言動がおかしいと思われることがあります。 消耗期は、陰性症状であるやる気や意欲がなくなったり、感情が乏しくなる症状があらわれます。 回復期は、徐々に症状が良くなってきます。 少しずつ、元の生活に戻るように行動の範囲を広げていきます。

統合失調症の原因

統合失調症の原因は、遺伝が原因ともいわれていますが、実は明確には分かっていません。 遺伝については、統合失調症を患った母親から生まれた子どもが統合失調症になる可能性は、約10%といわれています。 そのため、遺伝以外にも、脳の中の神経伝達物質の異常、進学や就職などの環境の変化や強いストレスもきっかけと考えられています。 そして、統合失調症は、もともとその人が持っている素因と環境のどちらも影響しているといわれています。

統合失調症の治療

統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会療法の2つがあります。 統合失調症は、長期的な経過をたどることが多いですが、症状の緩和を図り日常や社会生活に戻ることを目的とします。 薬物療法は、抗精神病薬を中心として、抗不安薬や睡眠薬を用いることもあります。 抗精神病薬は、従来から使われてきた定型抗精神病薬と新しい非定型抗精神病薬の2つに分けられます。 定型抗精神病薬は陽性の症状に、非定型抗精神病薬は陽性症状と陰性症状に有効と考えられています。 どんな薬にも副作用がありますが、抗精神病薬の副作用を抑えることを目的として、抗パーキンソン病の薬や便秘薬を用いることもあります。 心理社会療法、知識を学習する疾患の教育や認知行動療法を盛り込んで治療を行います。 日常と社会生活に戻ることを目的として、レクリエーションやデイケアにおいてリハビリを行う場合もあります。 そして、統合失調症の治療は、入院での治療もしくは外来での治療の場合も、薬物療法と心理社会療法の2つを実施し相乗効果を狙いとします。 統合失調症は、症状がよくなって抗精神病薬の服用を中止した場合、一時的症状が回復したように見えますが、しばらく経ってからストレスなどをきっかけに症状が再発する場合もあります。 そのため、治療は医師と相談しながらしっかりと治療と向き合うことが必要です。

境界性パーソナリティ障害について

パーソナリティ障害という疾患があります。 パーソナリティ障害は、人の考え方や行動が、他の人と比較して、明らかに異なった状態になる疾患です。 日常生活、職場、学校での生活などで人間関係で問題が発生することがあります。 パーソナリティ障害にはいくつかの症状の種類がありますが、性格が全く違う人みたいと言われることで可能性のある症状として境界性パーソナリティ障害という症状があります。 この境界性パーソナリティ障害は、複数あるパーソナリティ障害の種類の中で、多い症状といわれています。 次に、境界性パーソナリティ障害について解説します。

境界性パーソナリティ障害の特徴

境界性パーソナリティ障害は、衝動的に感情が変化することから、友人や知人、家族など周囲の人たちは気を使って接するなど、接し方が大変になります。 本人は、相手の気持ちを理解することが得意なため、相手のために尽くしたり相手がよいと思う行動をとることが多いです。 一方で、精神的な面、行動面、人間関係が安定せず、日常生活や職場、学校生活で問題を起こしたり信頼や信用を失ってしまう状況になってしまうこともあります。 そのきっかけとして、自分は相手のことを考えて行動をしたのに、相手は自分のことを思ってくれない、自分からは離れて他の人のところにいってしまうと感じると、精神的な不安や怒りの感情が沸き起こり、自分の感情の抑えがきかなくなってしまいます。 怒りが冷めていったん冷静になってみると、なんであんなことを言ってしまったんだろう、なんであんなことをやってしまったんだろうと自分を責めて自己嫌悪に陥ってしまいます。 そのため、境界性パーソナリティ障害の人は、一人になることができず、自傷行為や他人に構ってもらいために自殺をほのめかしたりする場合もあります。

境界性パーソナリティ障害の原因

境界性パーソナリティ障害は、遺伝や環境といった要因が複数絡み合っていることが影響して発現すると考えられています。 具体的には、遺伝の場合は、家族の中で親から子どもへ境界性パーソナリティ障害が受け継がれる可能性があります。 家族の中で一番近い近親者が境界性パーソナリティ障害の症状を患っている場合、普通の人よりも発症する可能性が数倍高くなります。 環境が要因の場合は、子どもの頃に経験した虐待や、恋人や親から見捨てられることを怖く感じるようになり、気持ちの不安定さから衝動的な感情の変化が現れることがあります。

境界性パーソナリティ障害の治療

境界性パーソナリティ障害の治療は、薬物療法と精神療法の2つがありますが、精神療法の方が中心的です。 境界性パーソナリティ障害の薬物療法は、主に気分安定薬と抗精神病薬、抗うつ薬が用いられます。 境界性パーソナリティ障害の中心である精神療法は、自殺に関する行動とうつ状態を軽減させ、日常生活や社会生活を一般の方と同じように送るのをサポートすることを目的とします。 精神療法には、弁証法的行動療法、STEPPS と呼ばれるトレーニング、メンタライゼーション、転移焦点化精神療法、スキーマ療法、一般的な精神医学的管理があります。 弁証法的行動療法は、個人もしくはグループで精神療法家とのセッションを週1回行います。 境界性パーソナリティ障害の治療の中では、一番効果があり、自殺抑制や怒りの感情を調節することに効果があるといわれています。 STEPPSも、週1回、グループセッションを行います。感情の調節の方法を学ぶことで自分をうまくコントロールしていく技術を習得します。 メンタライゼーションは、自分と他人の考え方や感情を理解し、どのように他人と関わっていくかを学びます。 転移焦点化精神療法は、精神療法家とコミュニケーションをとることで、他人との関係を保つことを学びます。 スキーマ療法は、ネガティブな感情や考え方を健全なものに変換していくことを学ぶ治療法です。 一般的な精神医学的管理は、専門医が行うのではなく、専門外の医師が行えるよう設計された治療法です。 週1回の個人療法や薬物療法があります。

まとめ

家族や友人、知人から性格が全く違う人みたいといわれた場合の、考えられる疾患についてまとめてみました。 ただの気分の浮き沈みであれば、誰にでもあり得ます。 ですが、その性格の違いが周囲に影響を及ぼしたり迷惑をかけたり、自分自身も信頼を失ってしまうことがあれば、病気の可能性があります。 自身を振り返ってみて、思い当たるようなふしがあれば一度、医療機関の受診をしてみてください。